岡 清華

OKA SAYAKA

MOTHER創業者 管理栄養士
アーユルヴェーダ・ラージャヨガ講師
Mother株式会社 代表取締役 岡 清華

アーユルヴェーダの教えをより現代の日本にフィットさせる方法として“日本式アーユルヴェーダ”を提唱し、日本で取り入れやすいアーユルヴェーダ商品の開発、イベント、セミナーなど、各事業を展開し、さまざまなメディアにて情報を発信している。

-- まず、アーユルヴェーダに触れたきっかけはどんなものだったのでしょうか                  

岡:元々、健康に特別な興味があったわけではありませんでした。

高校生の時にスタイルを少し気にするようになり、ダイエットをはじめたのが「身体」というものに関心を持ち始めたきっかけだったと思います。

-- それはどういうことですか

岡:見た目は痩せて満足だけど、なぜか心が落ち着かない。幸せを感じることができなかった。
そこで、心も体も健康になる方法はないか考えはじめました。それが、アーユルヴェーダに興味を持つようになった原点です。

-- では、そこからアーユルヴェーダを学んでみようと思った

岡:いえ、その当時の私は大学への進路を決定する時期で、選択肢にあったのは、栄養学を学ぶことでした。それが心と体を健康にするための手段だと考えていました。

まだ、アーユルヴェーダのことは知らず、東洋医学を学んでみようとも思いませんでした。

-- では、どこでアーユルヴェーダに出会うのですか

岡:(進学して栄養学を)学ぶうちに、これがいい、これが悪いという知識が備わってきたんです。

だけど、同じことをやっても健康だったり、そうじゃなかったりする人もいる。だから、人それぞれ、体質っていうのがあるんだろうと実感するようになりました。

さらに、イライラしてたくさん食べてしまったり、心と体もつながっているんだろうとも。

心とか体、そして人それぞれの体質を意識しているうちに、アーユルヴェーダに出会いました。

こういうことが知りたかったんだ!

それが21歳の時でした。

-- そこから、日本式アーユルヴェーダというものを意識?

岡: 私自身、最初にアーユルヴェーダを学んだのはインドで学ばれたアメリカ人の師匠でしたので、日本の文化を成育的に体感されていたり、日本の生活をしてきた方ではありませんでした。

教わったアーユルヴェーダを日本で実践してみると、文化や習慣の違いで家族や友人などとかみ合わなかったり、生活の中でうまく実践できなかったり、社会的に孤立したようなもどかしさがのこりました。

そもそも健康な方には興味を持たれづらいし、この知識をそのままとなると現代日本で社会的健康も保ちながらアーユルヴェーダを実践するのは難しいのかな?と思ったんです。

 

--  それはどうして

岡:やはり、病気とか症状がある場合には、少し我慢したり、手間がかかったり、時間を使ってでもやってみようとなりますよね。

だけど、健康な人にとって、「わざわざ」やるには少し難しいと思ったんです。

 であれば、楽しかったり、おしゃれだったり、社会的にも現代の風潮に馴染むような素敵さがあり、それでいて心と体を健康にできるのであれば、そのような要素を混ぜていいんじゃないかと。

さらに、社会的にも人間的にも、精神的にも良くなるものであれば、健康な人も取り入れてくれる。

もちろん、本場と同じようなことが実践できればよいけれど、楽しいから、おしゃれだから、といった動機でもよい。むしろ、それが継続の動機になると思ったんです。

 

-- 自身のうまくいかない経験や実体験から「日本式アーユルヴェーダ」が生まれたんですね

岡:アーユルヴェーダの古典書に書かれていなくても、きっと文章や言葉にしきれなかった思想や目的の部分もあったと思うんです。

例えばハーブやスパイス、オイルをを使う理由、目的、意図…それを突き詰めれば、それがヴァータやピタを上げる、デトックスを促すなどの理由がある。

であれば、日本的な考え方や日本の材料でもその理由を満たしてくれる方法があるんじゃないか。

方法が違っても、アーユルヴェーダが目指している「本質」に辿り着けるだろうと。

-- 本質とは

岡:それは、心身のバランスをとることや本来の自分に戻ることだったり、自分らしさを発揮することだったり。

それが人生を豊かにしてくれるものであれば、「日本式」のアーユルヴェーダも本質を崩さず取り入れられるんじゃないかと思いました。

-- でも、その考え方を広めるのは大変じゃなかったですか

岡:もちろん、苦労もたくさんありました。やはり、本場のアーユルヴェーダとは違う、など厳しい意見や視線も感じました。

でも、スパイスを毎日とったり、オイルで全身をマッサージしたり、時には日本で実践することが難しかったり生活に合わないこともある。

社会的に受け入れられなければ、多くの人の心と健康には結びつかない。

であれば、おしゃれだったり、美しいといった要素を取り入れることが必要だと思ったんです。私自身の今までの人生の道のりのなかで形成されたアイデンティティがそこにあったことが大きいですね。

--  Dr.チャトゥリは日本に1年以上住んでいますが、日本に合うアーユルヴェーダはあると思いますか?

Dr.チャトゥリ:それはあると思います。やはり日本は忙しかったり、便利であったりするなかで、文化に合わなかったり、取り入れるのが難しいこともありますね。

それでも、美しくなりたい、健康になりたいという思いはどこでも変わらないと思います。

-- 日本式だけど、やはりアーユルヴェーダの本質が原点 

岡:そうですね、アーユルヴェーダの本場スリランカやインドの本質を汲み取り、そこからインスピレーションを得ています。

そのような国には、スパイスやギー、幸せや健康になるものがとても身近にある。だから、それらを手本に手段を変えて日本にもその本質を伝えたいと思いました。

一方で、それがたくさんの人の生活習慣にならないと、本当の幸せや健康にはつながらないとも思っています。

-- 日本でどのように広めようと思ったんですか

岡:まずはこの想いを共感できるコミュニティが必要だと思いました。

真の意味で幸せになるには、真の意味で美しくなるには、そんな想いを共有できる人と出会って行くこと。

そして、それを広げるための手段としてアーユルヴェーダの実践や知恵を生活に取り入れ、自分自身がまず体現している人間であることが必要でした。

-- どんな活動をしてきたのですか

岡:アーユルヴェーダって何ですか、そのように本当に基本的なことを伝えるための活動からはじめました。

オンラインや対面の講座、ギーづくりのWS、ギーを使ったキッチャリーなどの料理を提供したり。

コツコツ地道に活動していくうちに、お通じがよくなった、体がポカポカして温かくなった、とか、効果を実感した方の声が届くようになってきました。

さらに、これはどこで買えるんですか、オイルの塗り方を教えてください、そういう人が増えてきて。

その時点でやっと「ニーズ」を作り出せたんじゃないかと思いました。

--  「MOTHER」のコミュニティ活動が、飛躍の大きなきっかけになったんですね

岡:そうなんです、実際に不調を自分では感じられてもいなかったり、不調を感じても何をしてよいのかわからない人がいる。

だから、想いの共感からはじめ、気づきを与えられるような関係値を作り、その解決策を示す。

私がいいと思って一方的に発信しているだけじゃなかなか伝えるのは難しいので、「共感」をベースとするコミュニティが、私たちの活動のモチベーションや原動力にもなりました。

体感があれば続けてもらえる。続けてもらえれば、おのずと他の人にも紹介してもらえる。

紹介をしてもらえるためにも、想いや正しい知識を伝える。ちゃんと理解してもらって、さらに実感があると、もっと知りたい!楽しい!と喜んでもらえる。

そんな幸せや笑顔が循環するコミュニティが、「MOTHER」を大きくしてくれました。

-- それから「MOTHER-GHEE」という商品の製造販売にたどり着いたんですね。ギーとは実際どんなものですか 

Dr.チャトゥリ:まずスリランカでは、ギーは薬として病院で使われています。

特にヴァータ・ピタのバランスを調整するため、血の病気がある時などです。

アーユルヴェーダ病院に入院している時は、「パンチャカルマ」の術前準備として飲んだりもします。

 ほかに、塗るものもあったり、シャタワリなどのスパイスと混ぜて使ったりもします。

ギーと言っても、たくさんの種類があります。

基本的に、ギーはデトックスというより、体の栄養を補給するために使われています。

-- 一般家庭ではどのように使われていますか?

Dr.チャトゥリ:食べ物としても使われていますね。美味しいですよ。例えば、ギーライスとか。

睡眠改善に、ギーと牛乳を混ぜて飲んだりもしま。

一方で、コレステロールが高くなる、と誤解されていた時期もありました。

でも、ちゃんと作られた本物のギーを使えば、逆にコレステロールが低くなると今では理解されています。

だから、どこで作られているかということが大事なんです。

 

-- なぜ、ギーを商品に

岡:ギーは、アーユルヴェーダに出会ってから一番衝撃を受けたものでした。

自分の体調がすごく変わったんです。

舌磨きとか鼻うがいとか、よいものもたくさんあったんだけど、私をすごく変えてくれてくれたのがギー。

たぶん、ヴァータピタの私の体質にすごく合っていました。

 そして、当時の私と同じような生活習慣や体調、悩みを持つ人がたくさんいると思いました。

サラダを食べて、玄米を食べて、パンを食べて、忙しく動いて、一日中携帯を見て。結果的に精神状態はイライラしていたり不安感でいっぱい。

私が感じたり体感した不調を今も抱えている方々にも一刻も早くギーを知ってもらいたい、届けたい、そう思いました。

-- ギーを摂ることで、具体的にどんな変化がありましたか

岡:PMSや便秘に悩むことがなくなりました。目の乾燥もなくなった。

もちろん、オイルケアをしたり、アーユルヴェーダの生活習慣を心がけたけど、当初から長く日常的に続けられたのがギーでした。

飲み物や料理に入れるだけ、自分にとってはとても取り入れやすかったですね。

-- 「MOTHER」のギーにはどんな特徴がありますか?

岡: 現在「MOTHER」ではたくさんの商品を扱っているんですが、実は一番最初の商品がギーでした。

でも、当時は販売許可がなく、自宅で作ったものを会員さん向けに提供することからはじまりました。

 もし、美味しいギーが日本にあれば自分で作ろうとは思わなかったと思います。

でも美味しいと思えるギーがなかった。売っているお店も少なかったんです。

 だったら私が商品として美味しいギーを作って、日本で一番手に入りやすいギーが美味しいギーだったら、きっとみんなが手に取ってくれるだろう。ギーを好きになってくれるだろう。

美味しければ料理に使ってくれたり、生活習慣に取り入れてくれたり、それが健康につながるものであればみんなに広がっていくと思ったんです。

-- 日本人に合うギーってあると思いますか 

Dr.チャトゥリ:あると思います。実はスリランカ人も、ギーが美味しいものだとは思っていません(笑)

だけど、健康によいから飲む。代々伝わってきたレシピに書いてあるから使う。

例えば、妊娠中、赤ちゃんの健康に良いと言われている。

味は気にせず、健康のために飲む、そういった意味で摂られていると思います。

-- 健康にいいとは

Dr.チャトゥリ: 例えば、ギーとデーツを合わせ使うと、肌の透明感や、つやが出る。

ビタミンA, D,E,Kを摂取できます。

-- ギーの食べ方は決まっていますか

Dr.チャトゥリ: 使い方だけじゃなくて、時間帯で摂り方を変えることもできます。

お昼ならピタを抑えたり、様々な提案ができますよ。

便秘や子宮のためには朝、風邪やぜんそくの時は料理と一緒に、など。

-- 与那国で作るギーにどんな想いがありますか 

岡: 5年前くらいから本格的に販売したいと考えていました。もちろん、金銭的な壁はありますが、どこで作るかも重要でした。

 例えば、私が住んでいた東京で作ると考えたら。ラジャスの場所、様々な動きが活発な場所で作ることになる。

自然豊かなサットヴァな場所で作られたものは栄養素は同じかもしれないけど、食べた時の気持ちが全然違うと思いました。

 やっぱり、いる場所で気持ちが全然違うんです。与那国では自然にはお腹がすくけど、なぜか東京ではお腹がすかない、とか。

 だから、どこで作っても商品は商品だけど、これを食べて幸せになってくれたり、満たされる気分になったりするのは、環境がいいところ、自然のエネルギーが高いところで作る方がギーの良さを最大限発揮でき、感動を伝えられる、皆さんを笑顔に幸せにできると思いました。

-- 最初から与那国で作ろうと決めていたんですか

岡: いえ、日本全国を回りました。自然環境だけじゃなくて、人間関係がうまく流れるところでないと続かない、そんな想いで最適な場所を探しました。

3年前にこの与那国島に来た時に、昔は女性が治めていた島だったり、ハーブが豊富だったり。

アーユルヴェーダ自体が浸透しているわけではないけど、それに近い、自然と調和して、それをリスペクトしている人たちが多い。

ここならいいものが創れると思ったんです。

島で暮らす方々の中にも気に入ってくれて、ギーっておいしいね、肌がよくなった。便秘がよくなった、と喜んでくれる方も増えてきて。

だったら、手に取る人も嬉しいし、作っている土地の人にとってもすごくいいだろうって。ご縁いただいたこの島に貢献するためには、ギーが役立つのかもしれないとも思いましたね。

-- 与那国島には、自然のエネルギーが溢れていますよね 

岡: 自然のエネルギーが強く、それでいて母性を感じるような島です。

ギー食べてくれた人が、その強く優しい母性のようなものも含めて受け取ってくれているかなと思います。これを食べて安心するというか、満たされるというか、パワーを受け取れるというか。

-- 日本で作っているギー、地産地消という考え方にも当てはまります

岡: はい。その考え方はアーユルヴェーダにとっても大切な要素ですね。

原料となるバターはニュージーランドのものですが、与那国の自然、与那国の澄んだ空気の中で作り手の愛を込めて丁寧に手作りされています。

美味しさの秘訣はそこにもあると思っています。

-- コミュニティづくりから始まり、飛躍した「MOTHER」のギー。今後新しいチャレンジはありますか 

岡: たくさんありますよ!5年間、目一杯に活動してきました。

そこでニーズが生まれて、共感が生まれて、知恵が浸透してきた。

受け取ってくださった皆さんがその知恵を循環するように、今まで私が突っ走ってやってきた講座やワークショップや販売などをそれぞれのフィールドで活動くださっているのです(涙)

その上で、今私は、私にしかできないことにフォーカスしていきたいと思っています。

それは、今まで関わらせていただいてきた仲間の次なるステップ、皆様の活動の幅を広げなければという想いと責任感でもあります。

これまでMOTHERでアーユルヴェーダを学んでくださった皆様は、今完全に私と同じ知識を持っています。アイデア次第でなんだってできる素晴らしい5000年の知恵と、日本での活かし方の思想を既に得ているのです。

魂込めて知恵を共有した仲間が今度はそれぞれのコミュニティを広げ愛を循環してくれたら嬉しいなと思っています。

そこには、ものづくりや発信など、私にしかできないこともあるという自信があるからこそ全力で皆さんのことを想った行動に繋がっています。ブランドを確立し、ご縁を引き寄せ、人を巻き込み、土台を広げて行くような活動も私にしかできないことが沢山あると思っています。

私が最初にステップを踏んでいったように、得た知恵を使って講座を開いたり、イベント、ワークショップなどは、すぐにでも始められますね。私は今、そんな皆さんに頼りたいなって思っています。

頼るところは全力で頼る、任せる。そこに覚悟を決めて、私は新しいチャレンジに進んでいきたい。

その次のステップを用意して未来を開拓していくことが私の役割だと思っています。皆さんができることを、私がやりつづけてたら邪魔なので(笑)

どんどん自分が立っている立場を譲り、新しい立場をつくる。そうすることで関わっていただける方の人生の道筋をつくりやすくできるかなと思っています。私なりの最大限の感謝とリスペクトの表現、還元方法です。

 与那国島に移住したり、新しい命を授かったり、自分の状況が変わったことも、逆に大きなチャンスだと思っています。

 でもそれは、これまでの積み重ねと、支えてくれる人がいるからこそ。次のチャレンジに向けて、やれることはやったって感じです。

Dr.Chathuri Mihirani

Dr.チャトゥリ ミヒラニ

アーユルヴェーダの薬局 チーフドクター

コロンボ大学伝統医学部(アーユルヴェーダ学科)を卒業。国費でのインド研修や臨床経験などを経て、スリランカ・アーユルヴェーダ施設「エクセレンディブ」チーフドクターに就任。 ストレス・不眠・肥満など「現代病」への治療を得意としており、日本を含む外国人に対する診察数は5千人を超えている。 2019 年、ケラニア大学大学院カーヤチャキッサ(内科学)専攻を修了。2023年より日本在住。日本語能力試験2級。

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